FM三重『ウィークエンドカフェ』2023年1月14日放送

今回は、伊勢市で陸上教室『NAC(ナック)』を運営する世古和(のどか)さんがお客様です。
世古さんは2018年、日本選手権女子100mで優勝、アジア大会女子400mリレーでは、日本代表に選ばれました。
選手を引退後、伊勢に戻り活動を始めています。
まずは陸上との出会いからお話していただきましょう。

上は中3から、それまでは機械体操をずっとやっていた

小学校の頃は機械体操を本格的にやっていて、陸上競技の試合だけ出させてもらっていました。
中学2年制のときに大きな怪我をしてしまい、体操を続けられなくなってしまったので、そのときにいた中学校の陸上部の顧問の先生に誘われたのがきっかけで、本格的に陸上をはじめました。
はじめたのがそんなに早いわけではなかったので、まず、思いっきり100mを走ったのがきっかけで、走り始めました。
中学校のときははじめたのが3年生の春くらいだったので、全中の表示をまず切るということを目標にやっていました。
陸上が強いというか盛んな高校に行かせてもらいまして、恩師にも出会って、そこから本気で頑張りたいということで、インターハイを目指して頑張っていました。
その場その場でいろいろなことがあり、関わって食いださった方も、やっていく中で増えていってとても良い陸上人生だったと思います。

 

京オリンピックまでは頑張りたいと思った

まず、オリンピックを目標にしていました。
リオデジャネイロ・オリンピックが終わったときに引退を考えましたが、東京が決まったので、自国開催まで頑張ってみようかなとで、やっていました。
引退のときに、なにをしようか、陸上に関わるか関わらないかを考えました。
振り返ってみたときに、いろいろな人の支えや助けがあり、いろいろな方の教えも学んできたことを思い出し、それをちょっとでも地元の子どもたちや地域の人たちにお返ししたいと思い、クラブを作ろうとしたのがきっかけです。
最初は不安でしたし、うまくいくかどうかもわかりませんでしたが、やってみようということで、はじめました。
今は全部で70人くらい来てくださっています。
たくさんの思いを持った子どもたちや大人たちが来ていて、全国大会に目指して走りたいという人もいれば、楽しんでスポーツをはじめてみようという人もいて、その、いろいろな思いを持った方々が練習する中で、たくさんのことを私も学ばせてもらっています。

選抜メンバーには一応入っていたんですけど、日本自体が出場権を得られなかったので、最後の最後までチャレンジしましたが、叶わなかった、という感じです。
初めて選ばれたのが社会人1年目で、自覚というかちゃんとしないと、というのがありました。
本質というか、陸上をするという本質を見失いがちになることがあります。
一番の目標である『早く走りたい』を見失わないよう、指導できたらなと思います。

 

に出たいタイプではないので、今の方が自分に合っている

実業団で長く陸上をやっていると、陸上をしている意味を見失いがちになりました。
しかし子どもたちを見ていると、純粋に楽しんだり、『早く走りたい』という気持ちが伝わってきて、懐かしい気持ちになります。
マスターズに出られている方だったり、運動をされている方が、とても充実しているのを見て、私もこのような年のとり方をしたいな、と、学ばせてもらっています。
自分が前に出たいタイプではなかったので、立場が変わって、子どもたちや選手を応援する側になったときに、こっちのほうが充実感というか、楽しさがあります。
結果が出なかったとしても、今後につながっていくので、それはそれで良いことを学んでいるな、と思います。
子どもたちの、うまくいったとかいかなかったとか、悔しい思いとか、そういうのをわかってあげられるかなと思いますので、まずは結果に苦しむのではなく、結果を楽しんで出してほしいなと思います。

 

.01秒、1㎝で勝ち負けが決まる。その伸びしろを見るのが楽しい

記録がいきなり0.01秒とか1cmとかで勝ち負けが決まるので、それをどれだけ試合で発揮するかが大切になってきます。
そのために悔しい思いをしたり、きつい練習や努力をして、自分と向き合ったりする精神面というか。
自分と向き合うことができる競技だと思います。
私が大切にしているのは、現役時代、アメリカに行かせてもらったときに、日本では教えてもらえない基礎を教えてもらったことです。
走りまくるなどのきつい練習をただするのではなく、正しいフォームで走ることをアメリカで学んできたので、それを幼少期の子たちに教えて、今後長く競技人生を送ってほしいです。
フォームとか基礎トレーニングを大切にしています。
早く走るコツは膝を高く上げることと、腕を大きく振ること。
この2つですね。
まずは基本中の基本を。
足の回転だったり、姿勢だったり、筋肉の強さとか、発揮張、出力など、指導など変わってきているので、そのあたりも勉強しながら伝えられたらなと思っています。

地元でやることが、一つの意義であり目的だったので、『NAC(ナック)』をはじめられたことはとても大きいです。